Intelが第12世代モバイルCPUのリリースを始めた一方、AMDはモバイル用CPU Ryzen6000シリーズのリリースを始めました。
下記がAMD Ryzen 6000シリーズの一覧になります。
CPU名 | コア数/ スレッド数 | ブースト 最大Hz | キャッシュ | TDP | GPU CU数 |
AMD Ryzen9 6980HX | 8/16 | 5.0GHz | 20MB | 45W+ | 12 |
AMD Ryzen9 6980HS | 8/16 | 5.0GHz | 20MB | 35W | 12 |
AMD Ryzen9 6900HX | 8/16 | 4.9GHz | 20MB | 45W+ | 12 |
AMD Ryzen9 6900HS | 8/16 | 4.9GHz | 20MB | 35W | 12 |
AMD Ryzen7 6800H | 8/16 | 4.7GHz | 20MB | 45W | 12 |
AMD Ryzen7 6800HS | 8/16 | 4.7GHz | 20MB | 35W | 12 |
AMD Ryzen5 6600H | 6/12 | 4.5GHz | 19MB | 45W | 6 |
AMD Ryzen5 6600HS | 6/12 | 4.5GHz | 19MB | 35W | 6 |
AMD Ryzen7 6800U | 8/16 | 4.7GHz | 20MB | 15-28W | 12 |
AMD Ryzen5 6600U | 6/12 | 4.5GHz | 19MB | 15-28W | 6 |
Ryzen 5000シリーズも新モデルが3つありましたが、上記の表では除外しています。
Ryzen 6000シリーズはGPU性能が大幅強化される
AMD 6000シリーズではGPUアーキテクチャが変更されます。
Ryzenで長年使われたアーキテクチャであるVegaから、現行アーキテクチャであるRDNA2へ変更されます。
GPU性能も大幅向上するとのことです。
新型CPU Ryzen7 6800UのGPU性能をまとめると下記になります。
- AMD Ryzen7 5800Uの2倍
- Intel Core i7-1165G7の1.2倍~3倍
- GeForce MX450の1.1倍~2.5倍
なお、Ryzen7 6800Uは薄型モバイルパソコン向けCPUです。
GPU性能はRyzen7 5800Uの2倍
Ryzen7 5800UはRyzen7 6800Uの先輩にあたるCPUです。
HP Pavilion Aero 13などに搭載されています。
GPU性能に限らず、一世代の違いで性能が2倍になることは稀です。
VegaからRDNA2への刷新は、それほど大きい変化点だということです。
Intel第11世代のGPU性能を超えている
Intel Core i7-1165G7はIntel第11世代モバイル用CPUの一つです。
薄型モバイルPC用Core i7の基本型なので、CPU性能が高めです(ただし、クリエイター用/ゲーミング用には劣る)。IrisXeグラフィックスを搭載しているため、モバイル用にしてはGPU性能も高めです。
AMD Ryzen7 6800Uと同じ立ち位置なので、直接のライバル関係にあるCPUになります。
ベンチマークの具体的な数値(フレームレート)は未発表ですが、どのゲームにおいてもRyzen7 6800UはIntel Core i7-1165G7のフレームレートを超えています。
エントリーdGPUの性能を超える
GeForce MX450はNVIDIAのエントリーdGPUです。
dGPUとは、ディスクリートGPUのことです。CPUとは別の部品になったGPUです。
NVIDIA GeForceの製品名は、アルファベットと数字の並びになっています。
製品名で序列が分かるようになっていて、アルファベットは製品グレードを表しています。
NVIDIA GPU名 アルファベット | 製品例 | グレード |
RTX | RTX3090 | 高 |
GTX | GTX1660 | ↕ |
MX | MX450 | 低 |
GeForce MX450はIntel Core i7-1165G7よりも少し高いGPU性能を持っています。
Ryzen7 6800Uはそれすらも上回るとのことです。
軽いゲームならRyzenでもこなせるように
CPU内蔵グラフィックスの性能において、AMD RyzenがIntel Coreに追いついた形になります(むしろ追い越した様子)。
今後はRyzenモバイル用CPUにおいても、軽いゲームなら難なく動かせるようになりそうです。
GPU性能を重視するならRyzen7以上を
ただし、GPU性能が大幅に向上するのはRyzen7以上(Ryzen7・Ryzen9)限定とみた方が良いです。
Ryzen 6000シリーズの内蔵GPUは、いずれもRDNA2アーキテクチャを採用していますが、Ryzen5はGPUのCU数が半減しています。
そのため、Ryzen5においては「GPU性能が前世代の2倍」が当てはまらない可能性が高く、注意が必要です。
電力効率はIntel第12世代の2倍以上
AMD Ryzen6000シリーズは電力効率についても大きく向上します。
ゲーミング/クリエイター向けCPUのAMD Ryzen 9 6900HSは、同じカテゴリーのIntelCPUであるIntel Core i9-12900HKの2.62倍の電力効率を誇るとのこと。
CPUの最大スコアはCore i9-12900HKの方が高いです。ですが、これは電力を大量に使って達成しているイメージです。つまり、燃費が悪い。
消費電力あたりの性能ならRyzen 9 6900HSの方が圧倒的に高性能。言い換えれば燃費が良い。ちょっとの電力で十分動かせるようです。
これまでのAMD Ryzenはバッテリー持ちの悪さが弱点でした。しかし、最新世代では、Intel第12世代モバイルよりもRyzen6000モバイルの方がバッテリー持ちが良さそうです。
その他の細かな改良点
そのほかに以下の改良点があります。
- メモリがLPDDR5、DDR5に対応
- USB4対応
- Wi-Fi6E対応
- Bluetooth5.2対応
- PCIe4.0対応
- ディスプレイ出力は最大4画面をサポート
- DisplayPort 2およびHDMI 2.1に対応
メモリやインターフェイス、ネットワークがより高速な規格・機器に対応しています。
Ryzen 6000シリーズを待つべき?
Ryzen6000シリーズにおけるGPU性能・省エネ性能の向上は著しいです。
すぐにRyzen搭載ノートパソコンが必要、と言う方以外は、Ryzen6000シリーズ搭載モデルを待った方が良いと思います。
ただし、ここまでにも書きましたが、Ryzen5はGPU性能の大幅向上が望めない可能性があります。注意しましょう。
出典
マイナビニュース:AMD、CES 2022でRyzen 6000 MobileとRadeon RX 6500 XTなど発表 – Zen 4の予告も
https://news.mynavi.jp/article/20220105-2243393/
PC Watch:Ryzen 6000モバイル版で遂にGPUにてこ入れ。Zen3+とRDNA2で性能大幅引き上げ
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1378220.html
PC Watch(笠原一輝のユビキタス情報局):AMDのモバイルハイエンドCPU「Ryzen 6000シリーズ」、その高性能の秘密
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ubiq/1389277.html
PC自由帳:【モバイル版】Ryzen 6000シリーズの性能を発表内容から雑に予測【性能比較】
https://pcfreebook.com/article/ryzen-6000-mobile-spec-predict-2022-2.html
AMD:AMD Unveils New Ryzen Mobile Processors Uniting “Zen 3+” core with AMD RDNA 2 Graphics in Powerhouse Design
https://www.amd.com/en/press-releases/2022-01-04-amd-unveils-new-ryzen-mobile-processors-uniting-zen-3-core-amd-rdna-2
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